みかんの故郷に行った時の事
【画像準備中】
もう12〜3年も前の事だろうか。
母親の看護学校の同級生のTさんのお墓参りに
愛媛まで行った事がある。
母親の同級生数人と母親と私とでの小旅行だった。
広島の三原からフェリーで今治まで行き
そこから更にバスにしばらく揺られると
穏やかな海辺の風景と、みかん畑があった。
バスを降りてしばらく歩くとTさんの実家があって
妹さんが出て来て、Tさんのお墓まで案内してくれた。
皆は早くに亡くなったTさんに、銘々お花やお水を手向け
お墓に話しかけ、思い出を語った、涙する人もいた。
暖かな小春日和の午後だった。
Tさんは私の事を、友人の娘としてとても可愛がってくれたものだ。
高校生の頃、桜の咲く土手で、毎年写真を撮ってくれた。
病気の時はとても心配してくれた。
そんな優しいTさんのものごし、柔らかな言葉使いは、この土地が
育んだものだろう。
Tさんの弟さんがやってきて、手作りの箸置きを皆に手渡してくれた
温かい心のこもった箸置きだった。
帰りのバスを待つ私達の所へ、妹さんが息を切らせ掻けて来た。
「皆さんで食べて下さい」神妙な表情でそう言って抱えた数パックの
巻き寿司を渡してくれた、近所のお店であるだけの巻き寿司を買って来て
くれたのだろう。後でお饂飩と一緒に有り難く頂いた。
心温かい人達が住む「みかんの故郷」にまたいつか訪れたいと思う。